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心身に溜まった世の中の嫌な毒をデトックスしましょう。


by jinsei-detox

劇場巡りです

11月になって芸術の秋と言うことでもないが、結構つき合いもあって劇場を巡っている。
まずは故太田省吾の遺作となった沈黙劇「風の駅」を世田谷パブリックシティで。
当時の役者の大杉漣、品川徹、鈴木理恵子が参加している。この作品は韓国の女流演出家・キム・アラと韓国の俳優が共同制作をしている。
 正直言って僕が理解していた「風の駅」がなにかしらショー的なものに変貌してしまったというのが実感である。
韓国の役者はお芝居をしているのである。ちょっと違うんじゃないだろうかというのが率直な意見だ。
 演じていた品川徹さんも似たような感想をもらしていた。
 もともと僕は省吾さんの後期の作品は僕の思考と違ってきていて、僕は理解できるものの、好きな作品ではなかった。でもこうして彼の演出意図がこんなふうに芝居になってしまっていいのだろうかというクレームはいいたいような気がしたのである。

 さて次は最後のU・フィールド公演だという「トラベラー 旅する人々」
 この劇団は転形劇場が解散したあとの若い残党?が集まって作った劇団であった。あのころ20代だった連中も50代になっている。芝居の内容は太田省吾のテキストの範疇からあまり、でないものが多く、僕はいつも彼らにWHY?って厳しい問いを提示していたものだった。つまりなぜ太田省吾の目のフィルターでものを見るのだ?と苦言を投げていた。
 最後の芝居も太田省吾のテキストをつかい演技論を芝居の中で展開していたのだった。
 まあよくいえばこうも同じことを飽きもせずやってきたのは偉い!というしかない連中だ。
昔の仲間も劇場で顔を合わせることもあったが、みんな一様に歳を感じさせてくれる。僕も太ったねえといわれ「そうかなあ」などととぼける。
 それにしても芝居をまだ続けている連中は、志が強かったということだけではなく、運にも恵まれていたのだと思うのだが、でも最終的にはやはり強い意志があったからかも知れないと自分を顧みるのでした。


 最後は新国立劇場のバレエ。芸術監督のビントレー振り付けの「パゴダの王子」。
 なんだい!これはいったい!
「ペンギンカフェ」のビントレーは評価するけど、この作品はいただけない。
 この作品は世界初演というけど、ロイヤルバレエの振付家クランコが構想し、その後マクミランも手がけたという。作曲は英国人のブリテン。
 ストーリーは書くのがいやになってきたので、ざっとしかいわないけど、宮廷の王?の後妻のお后とお后の魔術でトカゲにさせられた王子とその妹の物語で。この妹に4カ国の王子が求愛にやってきて、トカゲの王子と一緒に逃げた妹が冥府譚を紡ぐ。この背景がガムラン音楽でバリ風。衣装やデザインが浮世絵や日本風なのだ。求愛する王子たちがロシア・アフリカ・中国・アメリカである。この衣装たるや70年代の感覚で、単純な当てぶり。まったくストーリーの中心となるキーワードがない。ベジャールの哲学のみじんもないのである。
こんな内容をありがたがるバレエ関係者は馬鹿そのものである。
 ダンサーの小野綾子やその他のダンサーたちがまったくくすんでしまうのである。
 ビントレーは英国に帰った方がいいんじゃないですか。日本のバレエファンを馬鹿にしすぎている!
 なのに劇場は結構満員なのだ。信じられない!
 
by jinsei-detox | 2011-11-14 19:24 | 文化