人気ブログランキング | 話題のタグを見る

心身に溜まった世の中の嫌な毒をデトックスしましょう。


by jinsei-detox

見失っていた気持ち

  とうとう来るべきものが来てしまった。親父が貧血状態で倒れて入院してから1ヶ月が経つ。親父は肺炎を併発して一時は危ない状態だったが、ようやく持ち直したと思ったら、また肺炎をぶり返し、酸素呼吸に切り替わった。
 その間、家人、オフクロ、妹などが世話をし、夜は家政婦さんを呼ぶことでなんとか凌いでいる。
 2ヶ月前の親父と僕らはまだ会話は成り立っていた。だが入院を機に段々と会話がスムーズに行かなくなり、親父の自己認識も危うくなってしまった。
 カテーテルからの点滴を施されながらも、親父は家に帰りたがっている。体力が回復すれば、退院ということになるのだろうが、家でオフクロが介護をするというわけにはいかない。ならばかわいそうでも介護施設に入ってもらうしかない。家族の状況を考えればそう決断するしかないのだ。
 この辛さは自分がその立場になってみないとわからない。多かれ少なかれ世の人々は黙って、それを乗り越えてきた。医療の貧しさとか、介護福祉の未熟さを挙げ連ねても、解決する問題は多くあるわけではない。
親に長生きをしてもらいたいと願いつつも、自分の仕事を投げ打って介護することも出来るはずもない。
 論語の親孝行の時代は終わった。論語の親は40代50代であろう。今は70の子が90代の親の面倒を見なければならない時代なのである。論語の親孝行のリアリティはなくなったと見なくてはならい。といったところでなにかが断ち切れるわけでもない。
 そんなことを想いながら溜息を吐いていたが、ふと見失っていた言葉が蘇ってきた。「感謝」である。こんなに長く親父とふれあうことが出来たことに感謝しなければならい。家族にも感謝だ。そんな気持ちを見失っていたことにふと気づいた。
by jinsei-detox | 2007-09-18 01:27